私は熊本出身です。実家は今も熊本にあります。
ちなみに私の父も大工でした。
父が建てた実家のダイニングに使われているひのきの床。
私はこのひのきが大好きでした。
天然の無垢材らしく、節があって、見た目も良いし、踏み心地も最高でした。
もう10年以上前の話しになりますが、私が大工から棟梁を経て、鬼塚工務店としてスタートする際、まずは自宅を建てて、お客様に当社が建てる家をご覧いただけるようにしようと考えました。
その時、実家の居間で使われていたひのきを思い出し、「あんなひのきを使いたい!」と、ひのき探しを始めたのです。
通常、木材は、産地から様々な流通業者の手を経て、江東区の木場に集められ、最後に工務店が買い入れて、現場に届きます。
木場まで足を運び、満足のいくひのきがないか探してみたのですが、見つかりませんでした。
私が満足できる、実家で使われていたあのレベルのひのきを、工務店が取引できる一般的な市場で、納得できる価格で仕入れることは出来なかったのです。
「どうにかして入手する方法はないか?」
といっても特別な方法などありません。
とにかく良材を探して、それを納得できる価格で手に入れるべく、一件一件あたってみるしかありません。
でもそんなに簡単には見つからないのです。
そんなルートがあれば、どこの工務店も既存の流通を通さずに買い入れてしまい、卸売り業者が立ちいかなくなってしまいます。
そんな事情は十分承知していますから、「もうこれは見つかるまで探すしかない!」と腹を決めました。
業務の合間に、インターネットや知人のつて、各種出版物などをあたりまくり、約二週間後、岐阜県の、ある生産した木材を管理する団体と話しがついたのです。
そのひのきは、ひのきが生育可能な北限に近い岐阜県の東濃地方で伐採される東濃ひのきと呼ばれる銘木でした。
私の自宅に採用して、その良さを実感し、当社で家を建てる方が、無垢のひのきの床材をご要望される際には、その団体から直接仕入れ、ご提供できる道筋をつけることが叶いました。
東濃ひのきの魅力
東濃地方は、夏と冬の寒暖の差が激しく、特に冬はとても寒さが厳しい地域です。
寒いと木もゆっくり育つため、年輪は細かく密になります。
幾年とそれが繰り返され、均一でほぼ真円な木が育つのです。
目の細かい年輪は、見た目に美しく、狂いにくい良材となります。
材質はピンクで艶があり、香り高いのも特徴です。
古くから神社や仏閣などの建築にも使われてきました。
「式年遷宮」という行事をご存知でしょうか?
簡単にいうと、伊勢神宮の社殿を20年に一度つくり替えて維持するために、神座を遷す行事です。
飛鳥時代の天武天皇が定め、持統天皇の時=西暦690年に第一回が行われました。
20年に一度という期間は、建造にあたる人が、当時の寿命でも2度は遷宮に携わることができ、初めて遷宮を経験する次世代の技術者へ技術を継承していくのに適当な期間だったからと言われています。
伊勢神宮 外宮 新御正宮
戦国時代に中止の期間がありましたが、最近では、2013 年に第62 回の式年遷宮が催されています。
当社のひのきは、その式年遷宮で使われているひのきと同じ山で伐採されている銘木です。
無垢の床の魅力
無垢の床は、余計な湿気を吸収してくれるので、夏はサラッとしてベタつかず、気持ちよく過ごせます。
寒い真冬の朝、冷え切った合板フローリングの上を歩かないといけないのが憂鬱、という経験をしたことがある方、少なくないと思います。
無垢のひのきの床は、断熱性が高く、蓄熱性があるため、冷たくなりすぎず、裸足で歩いても飛び上がるほどの冷たさを感じることはありません。
横浜市神奈川区H 様邸のリビング
通常、床暖房を採用すると、無垢のひのきは使えませんが、当社がおすすめしている床下エアコン暖房なら、問題なく採用できます。
無垢のひのきの床は、傷が付いたり、陽に焼けたりしても、それはそれでいい味となり、いつまでも愛着をもってお使いいただけると思います。
当社のショールームで実物を体感していただけます。ショールーム見学は、予約制となっておりますので、お電話か問い合わせフォームより、事前のご予約をお願いいたします。
床下エアコンのあるY様邸に採用した東濃ひのきの床 横浜市保土ヶ谷区