能登半島地震を受けて 当社の耐震に対する考え
2024年01月22日 18:36 Category : ニュース
この度の能登半島地震で被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。皆様の安全と、1日も早い復興をお祈りいたします。
震災より20日が経過しても、被害の詳細は判明しませんが、これまでに報じられている状況を踏まえ、家づくりを行っている当社の立場から、耐震に対する考えを動画でお伝えいたします。
最初に被害の詳しい情報が報じられたのは1月6日。
新耐震基準導入後に新築・改築された家も、半数の木造家屋が全壊したという記事です。
続いて、1月13日。
今回の地震で4000棟を超す住宅の損壊が判明。震度6強でも倒壊しないといわれる耐震基準を満たした家屋の全壊も多数確認された。
そんな状況を招いた1つの理由として、それまでの群発地震によるダメージが蓄積していたのではないか、と伝えています。
詳しく見てみましょう。
まず、冒頭の新耐震基準について。
ご覧のように耐震基準は、大きな地震が起こるたびに見直され、現行の耐震基準は、1995年に発生した阪神淡路大震災の被害を受けて見直されたものです。
冒頭の記事でいう「新耐震基準導入後でも全壊」と報じられている新耐震基準は、阪神淡路大震災であれだけの被害が出た教訓を生かす前、今から43年前の1981年に改正された基準である、ということがおわかりいただけると思います。
次に、能登半島を襲った群発地震について。
過去を遡ってみると、古くは2007年最大震度6強の能登半島地震がありました。
その後、1昨年、昨年に最大震度6を超える地震が2回発生、それ以外にも2021〜23年の3年間で震度5弱以上の地震が5回も発生していました。
新耐震基準をクリアしている建物は、「震度6強から7の大地震でも人命に被害を及ぼすような倒壊は免れる」という基準です。
これは、人命を守ることが目的であって、建物に被害が及ばないという意味ではありません。
これだけの大地震がくれば、当然、建物は損傷を受け、その後に大きな地震が来れば、耐えらないケースも十分に考えられるということ。
今回は残念ながら、そのような事態を招いてしまうことになったといえそうです。
命は守られたけれど、住み続けることができないのでは、その後の生活が立ち行かない。
ということで設けられたのが、建築基準法で定められるよりも耐震性の高いものを選択できるようにした、耐震等級という制度です。
耐震等級には3段階のレベルがあり、耐震等級1が先に見た建築基準法をクリアするレベル、耐震等級2と3は、それぞれ耐震等級の1.25倍、1.5倍の耐震性能を持つと定義されています。
でも、この1.25倍、1.5倍という数値ではピンとこないと思います。
実際に大きな地震に見舞われた熊本地震を振り返ってみましょう。
これは、2016年に2度の震度7に襲われた熊本地震の被害状況を築年別に分類したものです。
これによると、旧耐震基準の家は約半数が全壊か倒壊、2000年5月までの新耐震基準の建物は約2割が全倒壊しています。
阪神淡路大震災の教訓を生かした活かした現在の耐震基準の建物の全倒壊は6%に留まっています。
さらに、現行の耐震基準を分類すると耐震等級3の16棟は、最も被害の大きいものでも半壊まで、補修すれば住めるレベルの被害に留まりました。
一方で、耐震等級2の建物は、倒壊してしまった事例が報告されています。
この実績から、30年以内に70%の確率で最大震度7の首都直下地震が発生するといわれる、首都圏にお住まいの方は耐震等級3を取得するべきだ、と考えるのが合理的な判断だと思います。
また、耐震等級には2つの計算方式があります。
1つが簡易計算で判定する住宅性能表示計算、もうひとつが詳細に計算する許容応力度計算です。
許容応力度計算は、構造上、重要な部分に荷重や外力がかかった場合に、耐えられるかどうかを構造計算で明らかにします。
この許容応力度による耐震等級3が、現在考えられる最強の基準を満たした木造住宅であるということができます。
近い将来、首都直下地震や南海トラフ地震が、まず間違いなく発生するといわれています。
その地震の影響を免れない、横浜川崎で家を建てている当社では、許容応力度計算による耐震等級3を取得するべきと考え、お客様のご意向に関わらず、全棟構造計算を行い、許容応力度計算による耐震等級3を取得しています。