長細い土地に建てた二世帯住宅
2023年11月21日 06:23 Category : ニュース
長細い土地、
数字で示すと、間口5.4m、奥行き18m。
そういわれても、ピンとこないですよね。
図にすると、
その長さを感じていただけると思います。
5.4mというと、畳1帖の長辺を1.8mとすると、ちょうど3帖分。
どれくらいの大きさの建物が建つかというと、
こちらです。
場所は23区、人気の城南エリアの一戸建てですので、これくらいの間口の建物が珍しいわけではありません。
なので、奥行き18mという長さに特徴のある家づくりです。
その長さ=広さを活かして、3階建ての2世帯住宅を計画いたしました。
まずはアプローチから。
ビルトインガレージの幅を確保するために、玄関ポーチは大人がぎりぎり通れるサイズまで圧縮しました。
当然ながら、玄関ドアは、正面に立って、右にスライドすればサッと開く、引き戸にしています。
ビルトインガレージと、ポーチの幅を節約したおかげで、
二世帯分のご家族の溢れる靴やアウターをたっぷり仕舞える土間収納を確保できました。
左下に見えているのは、光を採りこむ地窓。
長い建物は、中央部分に光が入りにくいもの。
だからといって、安易に窓を設けると、お隣様の視線などが気になったりしますので、このような地窓が有効です。
その上の壁面、左官で仕上げたコテの跡が見えます。
ショールームでご覧いただいた、漆喰=エスタコウォールを気に入っていただき、採用していただきました。
今回の建物は延床50坪を超える二世帯住宅ですので、全面に塗り壁を採用するのはちょっと・・・
ということで、特に見栄えのする壁をピックアップし、間接照明なども取り入れながら、メリハリをつけています。
さて、こちらは洗面脱衣洗濯室と浴室です。
一般的なマンションの中住戸のプランと同じように、使用する時間が限定的な水回り設備は、光を採りこむのが難しい建物中央部分に集中させています。
階段下を利用したトイレもその一つです。
こちらが、1階ご両親様の暮らすリビングです。
ルーバーで囲われた一室は仏間となります。
光を採りこみつつ緩やかに仕切れます。
開放すればリビングの一部として広く使えます。
キッチン側はまだ工事をしていますが、中に入ると、想像以上にリビングの気配を感じず、集中することができます。
この仕切りは、木目のルーバーとともに、アクリル板のような透明の板でも仕切ってあるので、音もある程度遮断されます。
キッチンの奥にはご両親の寝室を設けました。
トップライトでしっかりと、光を採りこみます。
さて、今回の二世帯住宅、親御様世帯のお子様=子世帯のご兄弟様も一緒にお住まいになります。
可能であれば、1階にお部屋を確保できればよかったのですが、それは現実的に難しい。
そこでこうしました。
こちらは2階に上がる階段室の数段下から撮った写真です。
右手が子世帯様が暮らすお部屋で、左手が親世帯のもう一人のお子様のお部屋です。
玄関ホールを挟んで正面に扉を設置し、無駄なスペースを削除しています。
いくらご親族とはいえ施錠できる方がお互いに安心できる、ということで、それぞれの扉にカギを設けました。
こちらがご兄弟様の個室。
3か所の収納スペースや棚を造作して、機能的にお使いいただけると思います。
さて、ここからが子世帯が生活されるゾーンです。
突き当りが洗濯機置場で、この縦長の廊下に見えるスペースは、脱衣室を兼ねたランドリースペース。
奥の洗濯機置場から見るとこの通り。
右手突き当りの浴室前で脱いだものを、撮影位置にある洗濯機置場で洗って、浴室乾燥機で乾かし、左手のウォークインクローゼットに仕舞います。
天井の黒いアイアンバーは、一時的にハンガーを掛けたり、クローゼット代わりに使ったりと、ユーティリティースペースとして活用できます。
先にご紹介した脱衣室兼ランドリールームへの入り口は、この写真の左手。
洗面化粧台は脱衣室から切り離し、それぞれが気兼ねなく使えるようにしました。
この撮影位置の背後、
このトイレも、光を採りこめない建物中央部分に設けています。
そして、子世帯のLDKへ。
写真には写っていませんが、キッチンの右手が、先にご紹介した浴室とキッチンを仕切る壁で、今回の長い建物のちょうど中間位の場所にあたります。
その割にカウンター越しから光がしっかり入っているのがお分かりいただけると思います。
こちらがLDです。
リビングとダイニングは、用途によって仕切っても使えるようにしました。
お客様がお見えになるようなときは、
このように、3枚の引き戸で仕切って使います。
子世帯の個室は3階に設けました。
約10帖あるこちらのお部屋は将来2つに分けて使えるように、備えています。
南側に向いた日当たりの良いバルコニーは7帖弱の広さがあります。
大きなものを干したり、夏はプールで遊んだり、多目的にお使いいただけると思います。
3階にも洗面台とトイレを設けました。
今回の家づくりは、縦長の敷地をいかに二世帯住宅の暮らしやすさにつなげるか?というのがポイントでした。
例えば、建物の長辺に沿って、シューズインクロークや脱衣室を兼ねたランドリールームを設けたり、地窓や天窓など周囲の視線を気にせず、光を採りこむ工夫だったり、光が届かない中央部分に何を配置するか?など、ご要望をお聞きしながら設計しています。
また、縦長の敷地に階段室を設置する際は、長辺に沿って設ける場合が多いのですが、今回は建物中央に短辺と平行に折り返し階段を設けました。
この階段室を建物中央に配置することで、中央部の光があたらない部分の面積を埋めつつ、1階はガレージと親世帯、2階は子世帯のフロアと親世帯の個室を、3階は子世帯の主寝室と子供部屋を距離を取って仕切っています。
注文住宅の間取りは、いかようにもプランニングできますが、よくよく考えて練らないと、後悔してしまうことが少なくありません。
多くの方にとって、家づくりは一生に一度の大イベントです。
「あー、失敗した!」ということにならないように、ご意見をお聞きしながら最適なプランをご提案できるように心がけております。