住宅ローン事例①「マンションからの住み替え」
2023年04月10日 17:05 Category : 住宅ローン,建築・住宅用語
久々の住宅ローンに関するブログです。今回から数回にわたり、実際に弊社に相談のあったかたの事例をご紹介していきます。まずは「マンションからの住み替え」事例です。
A様は、4年前にマンションを購入されましたが、今回奥様のご両親との二世帯住宅を建築(建替)することになりました。土地は義両親の名義、建物はA様の名義、建築資金は全額住宅ローンとする予定です。さて、このような場合、どのように話が進んでいくのでしょうか。
このとき、最初に注意しなければならない点は、A様が4年間にご購入されたマンションについて「住宅ローンが残っているかどうか」、義両親の土地と既存建物も同様に「住宅ローンが残っているかどうか」。この点が重要です。もし住宅ローンが完済していない場合、登記簿謄本に「抵当権」という権利が設定されているはずです。この権利は、以前のブログにも記載がありますが、銀行などの金融機関(保証会社を含む)が住宅ローンを貸し付ける際に設定する権利です。この権利を抹消するためには、住宅ローンを完済し、金融機関との間に債権債務がなくならないと手続きができません。稀に住宅ローンは完済しているのに、抵当権だけが残っているケースもありますので、この場合は早急に抹消の手続きをしましょう。
A様の状況を確認してみましょう。A様は、当時3,500万円で売りに出ていたマンションを2,500万円のローンと1,000万円の自己資金で購入され、現在の住宅ローン残高が2,250万円とのこと。また義両親は自己資金にて土地と建物を購入されており、抵当権は設定されていませんでした。この状況において、新しい住宅ローンをどのように組んでいくのでしょうか。A様の情報として「年齢35歳、勤続10年、年収650万」であり、借入希望額5,000万円とすると通常の住宅ローン審査としては、返済比率も問題なくクリアして、住宅ローンを組むことができます。では。マンションの住宅ローンは???
住宅ローンとは、あくまで「自らが居住するための建物の購入資金」であるため、マンションに住宅ローンが残ったままでは審査を進めることができません。つまり住宅ローンを完済する必要があります。
完済する具体的な方法は「①自己資金で完済」または「②第三者に売却してその資金で完済」の2つとなります。今回のケースは②となりました。これを進めるために、新築計画と同時並行で、今住んでいるマンションの売却を進める必要があります。多くの場合、新たな住宅ローンを組む際に「売却条件」というものが付帯されます。これは、新築住宅が完成するまでの間(場合によっては数カ月延長してくれるケースもあります)に、既存マンションの売却を完了して、既存住宅ローンを完済するというものです。
マンションの売却は、その立地条件や引渡時期、金額によって「すぐに」買い手がつく場合もありますし、新築住宅引渡ギリギリまで売却ができない場合もあります。欲を出してしまう(例えば、新築住宅完成と引っ越しの時期に合わせてマンションの引き渡しになるといいな、もう少し高値で売りたいな)と、うまい流れがつかめない場合もありますから、よほどのことがなければ、すぐに売却してしまうことをお勧めします。
A様の場合、建物工事中に3,300万円で売却することができ、一時的に仮住まいに転居されてから、新居へ再転居をされました。価格も近隣の平均売買価格に沿ったもので、既存の住宅ローンも滞りなく返済することができました。
実はここで1点注意しなければならないことがあります。それは譲渡所得というものです。不動産を売却した際に購入時の価格と比較して、もしプラスになっていた場合、それは譲渡益、つまり所得があると考えます。(当然、物価や地価その他の影響もありますから、単純な金額だけでみるものではありません)
所得である以上、税金がかかってくるわけですが、ここにもポイントがあります。購入してから売却するまでの期間が5年以下であれば「短期譲渡所得」、5年を超える場合は「長期譲渡所得」となり、それぞれ税率が変わってきます。この税率に対して、「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」という制度が利用でき、所有期間に関係なく最高で3,000万円の控除を受けることができるのですが、実はこの制度は、住宅ローン控除との併用ができない制度です。つまり、マンションを売却した際に「所得」が発生して、この制度を利用してしまうと、新しく組んだ住宅ローンの控除が受けられない、ということになります。
A様の場合、「購入額―売却額がマイナス」であったため、所得は発生せず、住宅ローン控除をそのまま利用することができましたが、ケースバイケースですので、よく調べてみる必要がありますね。
いかがでしたでしょうか?住み替えに抵抗があったり、どのように進めていけばよいのかわからないといった方も大勢いらっしゃいます。弊社では、家づくり無料相談会を随時実施しております。住宅ローンのご相談もお受けいたしますので、お気軽にご相談にいらしてください。
(つづく)
お待たせしました!住宅ローンシリーズ<住宅取得に必要な税金>
2022年11月01日 10:24 Category : 住宅ローン,建築・住宅用語
久々の住宅ローンに関するブログです。今回は、住宅を取得するうえで必要となる税金について学んでいきます。住宅を取得する際、「資金計画をしっかり作りましょう」という話は、どこの会社であっても営業マンから勧められることかと思いますが、この「税金」に関しては、全てが含まれていないことが多々あります。税金のことを念頭に置かず、カツカツの資金計画を組んでしまうと、いざ税金を支払う場面で、資金不足になってしまった、ということが無いようにしないといけません。では、どのような税金が発生するのでしょうか?
大きく分けると「住宅を取得する段階で必要な税金」と「後日支払いをする税金」とに分けられます。前者の「住宅を取得する段階で必要な税金」は、資金計画で記載がある会社が多いですが、後者は引き渡した後、数か月後に発生するものとなるため、資金計画に含まれていないのです。
1.「住宅を取得する段階で必要な税金」
①印紙税
印紙税は、契約書や領収書など経済的な取引によって作成された文書にかかる税金です。税務署に直接納めるのではなく、郵便局等で「収入印紙」を購入し、契約書に貼付、そこに消印(収入印紙とその下の文書にまたがって押す印のこと)することで、納税したことになります。課税金額は、それぞれの書面の内容(契約書なのか領収書なのか)や記載金額によって異なります。
②登録免許税
これは、土地・建物を問わず何らかの「登記」をする際に発生する税金です。「住宅ローンで土地を購入し、建物を建築する」場合に発生する登録免許税は、土地の所有権移転登記、土地の抵当権設定登記、建物の所有権保存登記、建物の抵当権追加設定登記の4つとなります。
一般的には、司法書士が登記手続きをする際に、登記費用の中に含めて請求されるもので、司法書士が皆様に代わって納税する形となります。(納税していないと登記ができません)
③不動産取得税
これも上記と同様に土地・建物を問わず発生する税金です。通常、上記の所有権移転・所有権保存の登記が完了し、登記簿謄本に所有権者として氏名が記載されたのち、3カ月から半年ぐらいを目安に市町村から通知書が郵送で届き、納税する仕組みです。
土地の場合は、固定資産税評価額(台帳価格)の50%が課税標準価額となり、その額の3%が税額となります。但し、一定の要件を満たした住宅用地であれば、税額の軽減措置があり、200㎡以下の面積の場合は、非課税となるケースが一般的です。
建物の場合は、固定資産税評価基準により課税標準額が決まります。なお、土地の場合と同様に、軽減措置が定められており、床面積が50㎡以上240㎡以下の建物の場合は、課税標準額から1,200万円(認定長期優良住宅の場合は1,300万円)を引いた金額となりますので、通常の広さの住宅であれば非課税となることが多いでしょう。ちなみに税率は、土地と同様に3%となります。
2.「後日支払いをする税金」
①固定資産税
固定資産税は、固定資産課税台帳に土地や建物の所有者として登録されている人が毎年納める税金です。毎年1月1日時点において所有者であれば年額を支払いことになります。(年の途中で売買する場合は、所有権移転日を起算日として買主が残日数分を売主に支払います)
税額は、土地・建物を問わず、課税標準額に対して1.4%が一般的ですが、財政上特別な必要性のある市町村においては、この税率より高くすることができるため、自治体によって税額が異なる場合があります。なお、建物の場合、床面積が50㎡以上280㎡以下の新築住宅の場合、2階建であれば3年間、3階建以上の耐火または準耐火建築物であれば5年間、120㎡までの床面積に対する固定資産税額が2分の1になる軽減措置があります。しかしながら、3年または5年経過後は軽減措置がなくなり、本来の税額に戻る、つまり税金が高くなるわけですから、早い時期から備えておくことが必要です。
②都市計画税
これは、都市計画法という法律で定められた市街化区域内にある土地や建物が課税対象となる税金です。税額は、課税標準額の0.3%までと定められています。一般的には、固定資産税と同時期に支払うものです。
固定資産税と都市計画税の説明において「課税標準額」という言葉がでてきました。この「課税標準額」とは、各市町村が3年に一度、土地と建物につけた固定資産税評価額をベースとして、この標準額が現状に則している価格かどうかを調査し決定するものです。直近の評価替えは2021年度でした。
土地の固定資産税評価額は、公示地価(毎年、国土交通省が調査委公表する基準地の価格のこと)の7割程度の水準を目安に設定されていますが、住宅用地の課税標準額には軽減措置が設けられています。この措置によって1戸あたり土地面積が200㎡までの部分は評価額の6分の1、200㎡を超える部分は3分の1が課税標準額となります。
固定資産税は、毎年4月から5月ぐらいを目安に納付書が送られてきて、その後4回に分割して納めることになります。市町村によって納税期日が異なりますので、注意が必要です。
いかがでしたでしょうか?固定資産税と都市計画税は、土地と建物を所有し続けている限り、必ず毎年支払わなければならないことがお分かりいただけましたでしょうか。住宅の場合、家計に対するランニングコストを算出するうえで、毎月の住宅ローンの返済額に、経年劣化に伴うメンテナンス(リフォームを含め)と併せて、この税金のことも念頭に考えることが大切です
弊社では、家づくり無料相談会を随時実施しております。住宅ローンのご相談もお受けいたしますので、お気軽にご相談にいらしてください。
(つづく)
お待たせしました!住宅ローンシリーズ<保証会社と保証料>
2022年05月16日 19:31 Category : 住宅ローン,建築・住宅用語,未分類
久々の住宅ローンに関するブログです。今回は、住宅ローンを組むうえで必要となる「保証会社」について学んでいきます。
ひと昔前まで、住宅ローンを組むには、本人が返済できなくなった場合に、その借入れを肩代わりすることを約束する連帯保証人が必要でした。しかし現在は、連帯保証人という「人的保証」ではなく、金融機関が指定する「保証会社」に保証料を支払うことで、保証を委託する形をとっています。この流れができあがった経緯を簡単に説明しましょう。
そもそも連帯保証とは、民法に定められている制度で、住宅ローンの場合は「債務者(住宅ローンの契約者)と同等の返済義務を負う」ことになります。つまり、金融機関としては、債務者と連帯保証人のどちらにでも貸し付けている金額の請求をすることになります。とはいえ、実際には、連帯保証人に返済の連絡がくることはなく、債務者の滞納や延滞が続き、返済不能と金融機関が捉えた段階で、はじめて請求されるのが一般的です。しかしながら、債務者に代わって弁済しなければならないほどの厳しい責任を負う連帯保証人になってくれる人は、ほとんどいないというのが実情です。ここで、「保証会社」が登場します。債務者が保証会社に対して、保証料の支払いをすることで連帯保証人の代わりの役目を担うことになります。
では、保証会社はどのような役割を果たしてくれるのでしょうか?一般的には、債務者が金融機関に対して、住宅ローンの返済を6カ月以上延滞するようなことがあると、金融機関は債務者に「住宅ローンの全額一括返済」を求める代わりに、保証会社へ請求をします。
この時点で、債務者の金融機関に対する返済義務はなくなりますが、住宅ローンが消えるわけではなく、むしろ状況は悪化したと言えます。なぜなら、今度は金融機関ではなく、住宅ローンを肩代わりした保証会社に対して返済しなければなりません。また、以前のブログに掲載した「個人信用情報」を管理している信用情報機関に「債権の異動」という、最も記載されてはいけない情報の一つとして登録されてしまいます。
この段階までくると、住宅を任意に売却したり、競売にかけられたりするケースがほとんどとなります。
返済が難しくなった、または難しくなりそうだ、という時点で、できるだけ早く金融機関に相談することが大切です。状況によっては、返済計画の見直しに応じてくれるケースもあります。昨今のコロナ禍による収入減少などもこれにあてはまるでしょう。
さて、実際に保証会社の利用にあたっては、「保証料」の支払いが必要となりますが、ここにもいくつかの方式があります。
①外枠方式
・借入年数と借入金額に基づいて算出された保証料を、保証委託契約締結時に全額支払う方式。
・銀行に支払う手数料は多額となるが、毎月の返済額は当初の金利通り。
②内枠方式
・保証料として支払う金額を、毎月の金利に上乗せ(考え方としては分割)して支払う方式。
・銀行に支払う手数料は少なくなるが、毎月の返済額が多くなる(一般的に+0.2%の上乗せ)
③融資手数料方式
・保証料を金融機関が肩代わりして支払ってくれる方式。但し、保証料の代わりに「事務手数料」という名目で保証料より若干高めの金額を支払う必要がある。
・上記の「外枠方式」に比べて、金利の設定が低くなっている金融機関が多いため、最近ではこの方式を選択して一番低い金利優遇を得ようと考えている方も多い(ネット銀行系は大体ほとんどがこの方式を採用しています)。
これら3つの方式は、それぞれメリット・デメリットがありますが、一番大切なことは、住宅ローンを組
まれる方のライフスタイルや今後の生活設計をどのように考えれているか、という部分です。住宅ローン減税の対象期間終了後、全額一括返済を考えているのであれば、②の内枠方式が絶対お得になりますし、毎月の金利優先であれば、③の融資手数料方式がお得になります。金融機関によって、それぞれ設定がありますので、住宅ローンを検討されている金融機関によくお話を聞かれることをお勧めします。
いかがでしたでしょうか?保証料の支払い方法だけでも、いくつかの方式にわかれているわけですから、住宅ローンを組むうえで知っておかなければいけない情報は本当にたくさんありますよね。
弊社では、家づくり無料相談会を随時実施しております。住宅ローンのご相談もお受けいたしますので、お気軽にご相談にいらしてください。
(つづく)
お待たせしました!住宅ローンシリーズの更新です。<団体信用生命保険とは?>
2022年02月02日 10:30 Category : 住宅ローン,建築・住宅用語
久々の住宅ローンに関するブログです。今回は、住宅ローンのなか出てくる用語「団信」について学んでいきます。
団信とは、正式には「団体信用生命保険」と言います。住宅ローンを利用する場合、原則としてこの保険に加入しなければなりません。この保険の意味合いとして、ローンの契約者(債務者)を被保険者として、万一「死亡」「高度障害」「余命6ヶ月の宣告」となった場合には、この保険金でローンが弁済され、残されたご家族はローンの負担から解放される、というものです。
長期間にわたる住宅ローンの返済中には、契約者本人の死亡や高度障害といった不測の事態が起きないとも限りません。そのため、金融機関による住宅ローンの場合、必ず団信に加入することが融資の必須条件となります。この保険料は、住宅ローンの金利に含まれておりますから、別途支払いが発生することはありません。しかしながら、健康状態などの理由から団信に加入できない場合、住宅ローンそのものの借入ができなくなります。この場合の対応策として、次の2つが考えられます。
①「ワイド団信」と呼ばれる引受緩和型の団信に加入する
審査条件が通常の団信より緩やかであるため、加入できる可能性が高くなりますが、絶対に加入できるとも限りませんし、金融機関によっては、この設定がない場合もあります。また、ワイド団信はオプション的な要素であるため、保険料として実際の金利に0.2~0.3%上乗せされます。
②「フラット35」を利用して、団信なしを選択する
「フラット35」を利用する場合、団信の加入は任意となっておりますので、ここで「加入しない」という選択を取ることも可能です。なお、団信に加入しない場合、固定金利の利率から0.2%マイナスとなります。
さて、この団信では先述の「死亡」「高度障害」「余命6ヶ月の宣告」以外の場合でも、保険料が支払わるものがあります。金融機関によって、それらの保険の設定は様々ですが、一般的に多いものとして「ガン団信」「3大疾病付き団信」「8大疾病付き団信」などが挙げられます。
これらの団信は、上記の「ワイド団信」と同様に、オプションとなりますので、保険料は実際の金利に上乗せして支払うことになります。
以下に簡単に示してみますが、金融機関による保険の設定によって内容は様々ですので、詳しくは住宅ローンを利用したい金融機関に聞いてみることが大切です。
①ガン団信
生まれて初めて「ガン」に罹患したと医師に「診断確定」された場合に、住宅ローンの残額が全額弁済となります。但し、「ガン」のなかでも、上皮内ガンと呼ばれる組織に浸潤していない超初期にあたるものや、皮膚ガンなどはこの対象となりません。また、住宅ローン借入の日から90日以内の場合は、免責となります。
②3大疾病付き団信
上記のガンに加え、「急性心筋梗塞」と「脳卒中」が加わります。この2つの病気の場合、多くは「診断確定」されただけでは保険金支払の対象とならず、所定の手術を受けた場合や初診日から数えて60日以上、労働の制限を必要とする状態が続いた場合、同じく60日以上にわたり言語障害や運動失調、麻痺等の後遺症が継続した場合など、支払いのための条件が付されています。
③8大疾病付き団信
上記の3つの病気に加えて、5つの重度慢性疾患(糖尿病、高血圧症、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎)が加わった団信となります。支払い条件については、上記②の「急性心筋梗塞」「脳卒中」のケースよりも厳しくなっていることが多いです。
最後に、この団信によってどれだけ支払いが増えるのかをシミュレートしてみましょう。「3,000万円を35年間、変動金利0.44%」で借りるとすると、
◎普通団信 ⇒ 77,083円
◎ガン団信 ⇒ 79,746円(ガン団信が0.2%金利上乗せの場合)
◎3大団信 ⇒ 80,421円(3大疾病付き団信が0.25%金利上乗せの場合)
つまり、2,663円のプラスでガン団信に、3,338円のプラスで3大疾病付き団信に加入することができることになります。
一般の生命保険においてガン保障をつけた場合、保険金額にもよりますが、この金額で加入することはまず無いと言えるでしょう。「ガンは遺伝する」とも言われていますから、もしお身内の方でガンに罹患されたことがある場合は、少なくとも「ガン団信」には加入しておくことをお勧めします。また、その他の団信にも興味がある場合は、住宅ローンの借入相談の際に、詳しく確認をしてみましょう。
弊社では、家づくり無料相談会を随時実施しております。住宅ローンのご相談もお受けいたしますので、お気軽にご相談にいらしてください。
(つづく)
2022年からの住宅ローン控除制度
2022年01月06日 08:46 Category : ニュース,住宅ローン
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
さて、昨年末の税制大綱で住宅ローン減税の変更内容が固まりました。
この場で概略をご紹介いたします。
変更点は大きく3点。
1.税額が控除される割合が、年末住宅ローン残高の1%から0.7%に減少。
2.控除される期間が、10年から13年に延長。
(コロナ特例で13年に延長されたものがそのまま継続)
3.環境性能に優れた住宅ほど優遇される。
3番目の環境性能の分類が、これまでは認定住宅かそれ以外だったものが、4つに分類されます。
コロナ特例を除く、従来の制度からの最大控除額を表にするとこうなります。
一番左がこれまでの最大減税額。
中央が、今年か来年に入居する場合、一番右が2024年、2025年に入居する場合のものです。
ZEH(ゼロエネルギー住宅)と省エネ基準は今回新たに加わった分類ですので、認定住宅と一般住宅の最大減税額をグラフにするとこうなります。
減税される金額が大幅に減ることがおわかりいただけるかと思います。
しかし、実際には、減税される金額が従来よりも増える方が多いともいわれています。
フラット35を運営している、住宅金融支援機構によると、住宅ローン利用者の6割が年収600万円未満で、世帯年収が800万円以上のご家族は2割にも満たないことがわかっています。(2020年度調査より)
年収600万円ほどですと、これまでの最大減税額400万円=年間40万円の減税枠を使い切ることができません。
制度変更後は、毎年21万円の減税となるので、これを13年間減税してもらった方が、減税総額は大きくなるというわけです。
気を付けなければいけないのは、2024年、2025年に入居する場合。
年末の住宅ローン残高の上限がそれぞれ少なくなります。
前出の住宅ローン機構の調査によると、注文住宅を建てる方の平均融資額は、土地ありの方で約3000万円、土地なしの方では、約4600万円。(2020年度首都圏)
住宅ローン減税による減税額をできるだけ多く活用したいのであれば、今年か来年に入居できるように計画するのが正解です。
環境性能を取得しない一般住宅に、2年後以降入居する場合は、減税対象となる年末ローン残高が半分になり、減税される割合も0.7%に引き下げられ、期間も10年のままとなるので、多くの方が今回の制度変更により、減税される金額が減ることになるでしょう。
一方で、3000万円までの借り入れで、来年までに入居されるのであれば、環境性能によらず、減税額は変わらないということになります。
とはいえ、家の性能は、とっても大切です。
ご家族が長く快適に住むために、住宅性能にはこだわって、家づくりを進めることをお勧めいたします。
住宅ローンのプレ知識 ・・・その⑤・・・
2021年08月09日 18:00 Category : 住宅ローン,建築・住宅用語
久々の住宅ローンに関するブログです。今回は、皆さんが気になる「住宅ローン控除」について学んでいきます。
住宅ローン控除とは、正式には「住宅借入金等特別控除」と言います(難しいですよね)。戸建住宅やマンションを購入する際に、住宅ローンを利用した場合、その年に納めた所得税等から一定の額が「税額控除」される仕組みとなります。利用するためには、次に挙げる条件をすべて満たす必要があります(ここで示すのは新築住宅の場合ですのでご注意ください)。
①新築や購入した住宅の床面積が50㎡以上(登記簿上の面積)であり、床面積の半分以上が自己の居住用に使用されること(つまり賃貸併用住宅であっても面積の半分以上は自己使用でなければいけません)。
②新築や購入してから6カ月以内にその建物に居住していること
③控除をうける年の合計所得金額が3,000万円以下であること
④返済期間が10年以上の住宅ローンであること
住宅ローンを利用される方の場合、その多くは上記をすべて満たしていると思います。では、実際にいつ、どのような流れで進むのでしょうか?
住宅ローン控除は、上記を満たした住宅ローンの「年末残高」が基準となります。控除額は「ローンの年末残高(通常の上限額4,000万円。認定長期優良住宅や認定低炭素住宅の場合は5,000万円)×1%」から算出します。つまり、年末のローン残高が4,000万円であった場合、4,000万円×1%となりますので、40万円が控除の上限額となります。ここで注意したいのが「40万円がそのまま戻ってくるわけではない」という部分です。
基本的に住宅ローン控除では、まずその年に支払うべく「所得税」の範囲内でしか税金が戻ってきません。所得税とは、サラリーマンの方であれば、毎月の給与から天引きされている税金のこと。一般的には年末に「年末調整」という仕組みによって、その年の所得税が決まるのですが、この税額部分が控除される仕組みです。所得税がもし25万円であった場合、控除額が40万円であっても25万円分が控除されます。では、控除しきれない残りの金額16万円はどうなるのでしょうか?実は、所得税にて控除しきれない部分がある場合、住民税からも減税が行われますのでご安心ください。
この住宅ローン減税、2019年10月1日に消費税が10%に引き上げられた際、控除期間が3年間延長されました。しかしこの控除期間の延長も、今年の9月30日までに契約締結をしないと対象となりません。13年間の延長措置をご希望のかたは、早めに住宅購入のために動きだしましょう。
弊社では、家づくり無料相談会を随時実施しております。住宅ローンのご相談もお受けいたしますので、お気軽にご相談にいらしてください。
住宅ローンのプレ知識 ・・・その④・・・
2021年03月15日 21:53 Category : 住宅ローン,建築・住宅用語
久々の住宅ローンに関するブログです。
前回(去年の暮れ頃であったような)は「住宅ローンを借入するまでの手順」について学びました。
今回は、実際に住宅ローンの手続きの際に必要となる「証明書」について学んでいきます。
希望する住宅ローンを借りることができるかどうかは、申込者の「収入」が大きなウェイトを占めていることは、すでにご存じのことと思います。
この収入(所得)を証明する書類として、本審査の申込時に公的な所得証明書が必要となります。
複数の金融機関に申込をする場合は、手間に加えて証明書を取得する費用が多くかかることを覚えておきましょう。
①給与所得者の方
・・・給与所得者、つまり一般的なサラリーマンや公務員の方などの場合、金融機関が確認したい収入とは、前年に支払われた給与の総額(税込の年収)です。この金額がすぐにわかる資料は、毎年末または年明けに会社から受け取る「源泉徴収票」となります。しかし、これは公的な収入の証明とはなりません。住宅ローンの本審査にあたり、源泉徴収票だけではなく、市町村が発行する「所得証明書」や「住民税額の決定通知書」が必要となります。
②自営業の方や確定申告をされている方
・・・自営業の方や確定申告をされている方の場合、上記にて示した「所得証明書」等のほかに、税務署が発行する納税証明書や市町村が発行する「住民税の課税証明書」が必要となります。これらは住宅ローンの申し込みをする金融機関によって、その種類や取得する範囲(何年分を用意するか)が変わってきます。なぜ、給与所得者の場合と異なりこれらの書類が必要となるのか、と言いますと、給与所得者の場合は、勤務先の会社が給与から所得税を給与から天引きして納税をしていますが、特に自営業の方の場合は、本人が直接納税をしておりますので、所得金額だけではなく、滞りなく納税されているかも確認されるからです。このほかにも、確定申告書やその申告書、一緒に提出した青色申告決算書などの付表の写しも提出することになります。
③法人の代表者の方
・・・ご自身で会社を経営されている方に対しては、会社の「決算報告書(直近3カ月分)」の提出も求められます。大手銀行やネット銀行などでは、この期間に1期でも赤字の年があると、審査自体を受け付けない傾向がありますので、事前に相談することをお勧めします。
④収入合算をして住宅ローンを申込む場合
・・・ご夫婦や親子で収入を合算して住宅ローンを申し込む場合、当然合算の対象となる方の収入証明やその他の書類が必要となります。
ケースごとにまとめてみましたが、申込者の状況と金融機関によって、準備しなければならない書類は変わってきます。
本申込に進む際に、金融機関から準備しなければならない書類を教えてもらえますから、きちんと準備をして本審査に臨みましょう。
不動産仲介会社やハウスメーカー、工務店の方と一緒に住宅ローンを決めていく場合は、担当の方と相談することもお勧めします。
弊社では、家づくり無料相談会を随時実施しております。住宅ローンのご相談もお受けいたしますので、お気軽にご相談にいらしてください
(つづく)
住宅ローンのプレ知識 ・・・その③・・・
2020年12月06日 18:28 Category : 住宅ローン,建築・住宅用語
久々の住宅ローンに関するブログです。
前回(9月頃であったような)は「ローン条項」について学びました。
今回は、実際に「住宅ローンを借入するまでの手順」について学んでいきます。
①事前審査
・・・まずはこの手続き。原則としては、土地の売買契約と建物の建築請負契約を締結してから、金融機関等に申込をします。必要となる書類などは、金融機関やインターネットを経由しての申込か否か、また申込をされる方のご職業などによっても変わります。審査にかかる日数は、1週間から10日前後を見込んでおくとよいでしょう。
②本審査
・・・事前審査が無事に承認された後、本審査(正式審査)へと進みます。実際に「借入申込書」を記入し、追加で必要となる書類を提出します。土地の謄本や建築予定の建物の図面なども必要となります。事前審査の内容に虚偽等があったり、団体信用生命保険(通称、団信)の審査が通らなかったなどのケースを除けば、一般的には承認されるケースが多いです。但し、フラット35の場合や、ネット系銀行の場合は、事前審査と本審査の基準が異なるため、否認される場合があることがあります。審査にかかる日数は、10日から2週間から前後を見込んでおくとよいでしょう。
③ローン契約
・・・本審査承認後、金融機関との間でローン契約(正式には「金銭消費貸借契約」といいます)を締結します。申込人様と連帯保証人様(土地の名義が申込人ではない場合は、実際の名義人も同席)揃っての契約となります。借入の金額、年数、融資方法、金利などが記された契約書、抵当権の設定契約書、その他複数の書類に署名捺印をします。
④土地決済
・・・上記ローン契約から1週間から10日後に土地決済を行います。借入をする金融機関で行うことが一般的ですが、仲介の不動産業者で行うときもあります。売主、買主(申込人)、仲介会社、司法書士が一同に会して、土地に関する最後の手続き(残代金の支払い、所有権の移転登記など)。この土地決済の日から、購入した土地が申込人様の名義(つまり法的に所有する)となります。
⑤建築請負代金の支払い
・・・建築請負代金の支払いについては、ハウスメーカーや工務店によって方法が異なります。完成時に一括で支払う場合もありますが、一般的には「着工時・上棟時・完成時」の3分轄となるケースが多いです。この代金支払いについては、原則としてその都度、金融機関で支払いの手続きを行いますが、郵送で行うケースも増えてきています。本審査をローン契約の段階で金融機関へほとんどの書類を提出していますが、建築請負代金の支払うためには、建築確認申請に伴う「確認済証」や「検査済証」という書面が必要となります(詳細は建築会社へお問い合わせください)。
大まかにまとめてみましたが、金融機関や支払いのタイミング等によってこの手順は様々です。
ご自分で調べて、ご自分だけで金融機関と話を進めてしまうと、後々トラブルにつながってしまう場合もあります。
土地を購入する、建築することが決まった段階で、不動産仲介会社やハウスメーカー、工務店の方とよく相談することが大切です。
弊社では、家づくり無料相談会を随時実施しております。住宅ローンのご相談もお受けいたしますので、お気軽にご相談にいらしてください。
(つづく)
住宅ローンのプレ知識 ・・・その②・・・
2020年09月04日 11:49 Category : 住宅ローン,建築・住宅用語
前回、「個人信用情報」について学びましたが、いかがでしたでしょうか。
些細な支払いの遅れから、大きな問題に発展してしまう場合もありますので、注意したいところです。
さて、今回は「ローン条項」というものを学んでいきます。
住宅ローンの事前審査において、「自分が○○○○万円借りることができるか」という漠然とした情報だけでは審査の受付をしてもらえません。
基本的には融資の根拠となるものが必要となります。
ハウスメーカーであったり不動産業者が行っているローン相談会などに参加して、「おそらく大丈夫だろう」と言われたとしても、実際の申込と審査は、具体的な物件が決まったあと(契約締結後)に行われ、融資の可否が決定します。
希望するローン(借入先、金利種類、金利など)が借りられるかどうかは、契約の時点ではまだわからないのです。つまり「契約をしたもののローンが通らなかった」というケースがあるということになります。
このリスクに備えるため、売買契約書や請負契約書の中に「ローン条項(ローン利用特約など)」が記載されています。
「ローン条項」とは、契約後から一定期間内に住宅ローンの融資承認が下りなかった場合は、契約が解除され、手付金や契約金といった支払い済みのお金が戻ってくる、というものです。
基本的には、○○銀行○○支店、○○銀行○○ローンセンターという形で住宅ローンを申し込む金融機関名が契約書に明示されています。
これらは、ハウスメーカーや不動産業者のメインバンクや提携ローンがある場合が一般的です。
本来、この「ローン条項」というものは、購入予定者つまり皆様を守るための制度です。
しかし、逆の見方をすると、どんなに不利な融資条件であっても、審査に通ればこれを借りて物件を購入するか、手付金や契約金を放棄して契約を解除するしかない、という面もあります。
また、前述しましたとおり、「一定期間内」という条件もあります。
一般的に契約締結日から1~2カ月程度が期限となります。
短いところでは2週間というケースもあるようです。
もちろん、何らかの事情があって期日に間に合わない場合など、売主との合意により、覚書等を取り交わすことで期間の延長をすることも可能です。
しかし、有利な条件で住宅ローンを借りることができないことがわかり、ローンの申込を怠った場合などでは、期間の延長ができない危険性があります。
住宅ローンを借りる際にハウスメーカーや不動産業者の「提携ローン」の利用が多いのは、審査の基準が通常より緩やかなケースが多いことに加え、これらの担当者が、ある程度の手続きを代行することによりスムーズに審査が進むという点が影響しています。
しかし、ご自身で「この住宅ローン」と候補を決めている場合は、並行して審査を進めるのがよいでしょう。
複数の融資承認が下りたならば、それらの中でご自身が納得するものを選択することもできます。
いかがでしたでしょうか?やはり、売買契約書や請負契約書を取り交わしてから、どの金融機関で借りるかを慌てて考える、というのは避けるべきであること。
そして、事前に住宅ローンを前提とした資金計画を立てる必要があるということが大切ですね。
弊社では、家づくり無料相談会を随時実施しております。
住宅ローンのご相談もお受けいたしますので、お気軽にご相談にいらしてください。
(つづく)
住宅ローンのプレ知識 ・・・その①・・・
2020年06月28日 18:02 Category : 住宅ローン,建築・住宅用語
今回から、実際に「住宅ローンを申し込む」という流れになった場合に備えての確認事項を整理していきます。
初めに「個人信用情報」について学んでいきましょう。
民間の金融機関であれフラット35であれ、住宅ローンを借りたい場合、まずは各金融機関の店舗窓口やインターネットを通じて「事前審査」の申込をします。
この申込を受けて、それぞれの機関(保証会社を含む)が審査を開始します。
この審査における第一段階が「個人信用情報」の確認です。
個人信用情報とは、その人の個人情報(氏名・生年月日・性別・住所・電話番号・勤務先など)をベースに、ローンやクレジットカードなどの取引(借入)情報、返済履歴情報(残高や返済の状況、延滞や滞納の履歴)、官報に記載された情報(自己破産の記録)などを包括したものです。
これらの情報は、信用情報機関に登録されています。現在日本には3つの信用情報機関があります。
①全国銀行個人信用情報センター(KSC)
全国銀行協会が設置・運営している機関で、その会員は金融機関(銀行・信用金庫、信用組合、労働金庫、農業協同組合など)と銀行系クレジット会社、各種保証会社などとなります。
②シー・アイ・シー(CIC)
信販会社や専門店会、リース会社、各種保証会社、消費者金融会社、金融機関、クレジット会社、百貨店などが会員となっています。3つのなかでは一番聞き馴染みのある社名かもしれません。
③日本信用情報機構(JICC)
消費者金融会社、信販会社、カード会社、金融機関、各種保証会社、リース会社などが会員となっています。
これら3つの機関は、それぞれ保有している個人信用情報をある程度共有していますので、仮にKSCに情報が保管されていなくとも、CICに情報が保管されている場合は、金融機関がKSCに照会した時点で、情報を確認することが可能となります。
しかし、確実な情報を共有しているわけではありませんので、金融機関は3つの信用情報機関すべてに照会をかけて情報を確認します。
また、これらの信用情報機関には「照会登録情報」というものも同時に保管されています。
これは、金融機関などの会員が個人信用情報にアクセスした記録のことです。
審査をする側(金融機関)からすると、個人信用情報にアクセスした結果、直近で照会した記録が残っている場合、「他の金融機関でも住宅ローンの申込をしているのでは?」と考える可能性が高いため、審査を早めてくれることもあります。
この個人信用情報において、特に「取引情報」と「返済履歴情報」が重要となり、これに何らかのマイナス情報があれば、審査に大きな影響を及ぼします。
マイナス情報とは、金融事故のことであり、「延滞」が事故件数のなかで一番多いものとなります。
クレジットカードの支払いを忘れてしまったという場合も、この延滞に該当します。
返済日を1日過ぎてしまった、という場合でもクレジット会社によっては延滞情報を載せる場合がありますので、くれぐれもご注意ください。
またクレジットカードを持っていないのに延滞がある、というケースもあります。
色々と調べていくとその原因にたどり着きますが、よくあるケースとして、「携帯電話の本体購入料金を割賦にして支払っている場合に、料金支払いを滞ってしまった」というものがあります。
通話料のなかに本体機器の割賦代金が含まれておりますので、自動的に延滞となってしまうのです。この割賦代金支払の情報もすべて個人信用情報にあたります。
これまでにクレジットガードなどにおいて、延滞などの金融事故情報に心当たりのある方は、個人でも手続きが可能ですので、ご自身の登録情報の開示請求をしてみましょう。
また、ご年収などの状況によっては、自動車ローンなどを一括返済してみたり、クレジットカードのキャッシング与信枠を減らす、または使用していないクレジットカードを解約するなど、住宅ローンの審査が通りやすくなる状況を自分から作っておくことも必要かもしれません。
いかがでしたでしょうか?住宅ローンを前提とした資金計画を立てる方が多いご時世ですので、まずは前提となる「個人信用情報」がしっかりしたものであるか、確認することも大切ですね。
弊社では、家づくり無料相談会を随時実施しております。住宅ローンのご相談もお受けいたしますので、お気軽にご相談にいらしてください
(つづく)