42㎡の敷地に建てた延床75㎡の ”ちいさな家”
2023年08月12日 06:31 Category : ニュース,施工事例,狭小
先月完成、お引渡しをした12坪の土地に建てた3階建てのお住まいをご紹介しましょう。
駅からほど近く大変便利な好立地、正面には桜並木があります。
土地の面積が広くないケースでは、オープン外構にしてフェンスをご提案しないことも多いのですが、桜まつりが開かれるほどの名所なので、外構フェンスもしっかり設けました。
フランクな外国人観光客の方が増えている中、オープン外構にしてアプローチの階段に腰かけられたりすると、ちょっと嫌ですよね。
玄関ドアの左側に四角い何かがあるの、お判りいただけますでしょうか?
寄ってみましょう。
明るい昼間だと、外の桜が映っていますが、暗くなると中の様子がうかがえるはず。
中はこうなっています。
カウンターを設け、上からスポットライトで照らしています。
陶芸のお仕事をされているお施主様が、作品を飾るカウンターです。
今回のお住まいは、1階に工房を確保するお住まいなのです。
玄関の右手にタイル張りの土間を設け、作業ができるようになっています。
アイアンの階段下にはこれから収納棚を設け、作品などを格納、展示します。
今回、床の面積がご覧の通り限られるので、床下エアコン暖房は採用しておりません。
でも、焼物用の窯が入るので不要かもしれませんね。
壁面の一部には有孔ボードを設置して、多様な収納を設けられるようにしています。
その背面の上下に見えているクロスは、よく見ると「ハリネズミ」。
「可愛らしいけど、全面に使うにはちょっとうるさいかも」
絶妙な採り入れ方だと思います。
有孔ボードの左隣の扉を開けると、
とても重要な水栓を用意しています。
土地12坪でも、必要な機能はしっかり備えています。
お客様がいらっしゃるケースも多いでしょう。
独立した洗面化粧室は、落ち着いた色味で、和洋折衷な大正ロマンを思わせる素敵なデザインです。
アンティークな雰囲気のある建具が、落ち着きを感じさせます。
今回のお住まいは、細かなマテリアルに意を注ぎ、ひとつひとつ慎重にお選びいただいています。
スペースが限られる中、洗濯物も干せる脱衣洗濯室を設けました。
一日の疲れを癒すバスルームは1616サイズの一般住宅と同等かやや大きいものを選んでいます。
1階の延べ床面積は25㎡弱ですが、無駄なく必要なスペースはしっかりと確保しています。
こちらは2階のLDK。
無垢の木の肌触りを感じられるブラックチェリーのフローリングが見た目にもとても効いています。
キッチンに立てば、外の景色が一望。
遠くにビルが見えますが、抜けているので外からの視線も気になりません。
窓の下にちらりと見えているのは、多目的に使えるカウンター。
壁面にはタイルを貼り、ランダムにガラスアートをちりばめています。
このガラスアートはお施主様ご自身で焼いたもの。
ご自身で作った作品を、ご自宅に取り入れることができるのは、芸術家の特権です。
2階から3階に上がる階段の手すりは、1‐2階とは異なる趣で無垢の木を採用しました。
主に寝室へ向かうその手すりは、鉄よりも木の方が安らぎますね。
アクセントウオールを2つの面で使うケースはあまり多くありませんが、有孔ボードの効果もあり、しっかりマッチしています。
こちらは間接照明が素敵な納戸です。
勾配天井をそのまま活かし、圧迫感がないようにしています。
面積が限られる小さなお家ですが、それだけに採り入れる素材を吟味したとても素敵なお住まいが仕上がりました。
このような、特別なお仕事をされていて、高い感性ををお持ちのお客様にご依頼をいただき、大変勉強になりました。