住宅ローン事例③「住宅ローンで賃貸併用住宅」
2024年01月25日 21:20 Category : 住宅ローン,建築・住宅用語
久々の住宅ローンに関するブログです。数回にわたり、実際に弊社に相談のあった方の事例をご紹介しております。今回は「住宅ローンを利用しての賃貸併用住宅」事例です。
現在C様は、親御様から相続された建物(土地を含む)にお住まいです。築後30年以上が経過しており、建替えを検討するようになりました。土地もそこそこな広さがあるため、ご自身の住居だけではなく、賃貸として貸し出せる部分も建築、つまり「賃貸併用住宅」を希望しております。賃貸併用住宅であれば、賃貸部に入居した方からの賃料収入を見込むことができるため、家計にもプラスになる、と考えられた結果です。
土地・建物ともにC様の名義、建替えにかかる建築資金は、全額住宅ローンを新たに組んで賄いたいとお考えです。さて、このような場合、どのように話が進んでいくのでしょうか。
このとき、注意しなければならない点として、①延床面積に対してのC様がお住まいになる「住居」部分の面積が半分以上であるかどうかという部分、②住宅ローンを借り入れる銀行の選択という部分、③住宅ローンの借入額に対する返済比率の部分です。
まずは①の面積について。そもそも「住宅ローン」とは、「不動産ローン」という土地や建物、その他不動産にかかるローンの一つであり、「専ら自らが居住の用に供するため」の住宅を購入・建築するため、通常の不動産ローンよりも金利を低くして借り入れることができるものです。
従いまして、「賃貸併用住宅」を狭義で捉えるならば「専ら自らが居住の用に供するため」の住居以外の部分がある建物となり、この部分がある以上、住宅ローンは適用できない、と考えることができます。とはいえ、銀行としても、「賃貸併用住宅」のすべてを住宅ローン適用外としてしまうと、消費者側のニーズを排除してしまうことになりますから、最低でも「延床面積に対して半分以上は、自らの住居部分」であるならば、住宅ローンとして適用してもよいでしょう、ということになっております。
次に②について。これは上記①にも関わることですが、狭義の「専ら自らが居住の用に供するため」の住宅にしか住宅ローンを適用しない銀行もある、つまり「賃貸併用住宅」の全額を住宅ローンで借り入れることができない銀行があるということです。この場合は、賃貸部分にあたる費用を自己資金で賄うか、全額住宅ローンで適用してもらえる銀行に変更するか、いずれかの選択となります。
最後の③について。ここが一番肝心の部分ですが、実は賃貸として貸し出すことで得られる賃料収入は、事前審査や本審査における所得として換算することができません。例えば、C様の情報として「年齢40歳、勤続15年、年収600万、借入希望額は5,000万円、諸費用も借入」であり、賃料収入として年間120万円と見込み、銀行の審査利率を3.0%としましょう。この場合、年収+賃料収入で720万円として考えれば、返済比率が32.07%となりますから、審査上もクリアしてきますが、本来の「年収600万円のみ」で審査が進みますから、返済比率は38.48%となり、審査をクリアすることが難しくなってきます。将来の収入や見込の収入は、審査にプラスの影響は与えません。もし、いまの年収が600万円であったとして、10年後にそれが700万円になっている保証は誰もできませんよね。銀行としては「裏付けのある収入」しか審査の対象とはしてくれません。
C様の場合、建物自体の広さを少し狭くすることで建築費を下げ、かつ余剰の土地(今回の建築で使わない土地)を売却することで費用を捻出して、賃貸併用住宅への建替え計画を無事進めることができました。
いかがでしたでしょうか?賃貸併用住宅のメリットばかりに目が行ってしまい、肝心の資金計画が疎かになってしまってしまう方も大勢いらっしゃいます。弊社では、家づくり無料相談会を随時実施しております。住宅ローンのご相談もお受けいたしますので、お気軽にご相談にいらしてください。
(つづく)
住宅ローン事例②「住宅ローン返済中の建替え」
2023年07月31日 17:15 Category : 住宅ローン,建築・住宅用語
久々の住宅ローンに関するブログです。数回にわたり、実際に弊社に相談のあったかたの事例をご紹介しております。今回は「住宅ローン返済中の建替え」事例です。
B様は、15年前に住宅ローンを利用して建売住宅を購入されました。入居当初から建売住宅の夏の暑さ、冬の寒さを我慢されてきましたが、昨今の住宅性能(高気密高断熱住宅)に深い興味を示され、何とかして建替えができないか、と検討するようになりました。土地・建物ともにB様の名義、建替えにかかる建築資金は、自己資金に加えて住宅ローンを新たに組んで賄いたいとお考えです。さて、このような場合、どのように話が進んでいくのでしょうか。
このとき、注意しなければならない点として、①B様が15年前にご購入された現居の住宅ローンが「残りいくら残っているか」という部分、②今回のケースは、考え方的には「借換」と同じくなりますので、基本的には既存住宅ローンの残年数が借入期間となってしまう部分です。前者は、住宅ローンを完済されている場合は問題ありませんが、完済していない場合、新たに借り入れる住宅ローンの金額に、既存住宅のための住宅ローンの残債がプラスされますから、返済比率の兼ね合いから「住宅ローンが組めない」可能性が出てきてしまします。後者は、前者と同様に年収や返済比率といった点がクリアできるかどうかという問題点がでてきます。
B様の状況を確認してみましょう。B様は、当時4,500万円で売りに出ていた建売住宅を、3,500万円の住宅ロ-ンと1,000万円の自己資金(親御様からの贈与)で購入され、現在の住宅ローン残高が2,150万円とのこと。この状況において、新しい住宅ローンをどのように組んでいくのでしょうか。B様の情報として「年齢45歳、勤続10年、年収700万、自己資金300万円」であり、借入希望額は5,700万円(新築資金として3,550万円、既存住宅ローン2,150万円)となりました。自己資金は、すべて諸費用に充てるとお考えです。
これまでブログを読まれてきた方であればピンとくる方も多いかもしれませんが、これまでの内容を勘案しますと、なかなか難しい住宅ローンとなることが予想できますよね。まずは、住宅ローンの期間を35年に延ばす方法を検討しましょう。銀行側が35年の長期でのローンを組ませてくれるかという事前相談が重要です。住宅ローンの借入に際して、必ず保証会社というものがつくことは、ご存じのことと思いますが、銀行がOKを出しても保証会社がOKを出さなければいけません。しかも、借換の扱いですから、既存の住宅ローンを組んでいる銀行では取り扱いができません。従いまして、この計画を進めるためには、銀行を探すことが肝心といえます。B様の場合、全国保証という保証会社を利用することで、住宅ローンの期間を35年にすることができました。
次に、返済比率の問題をクリアしていきましょう。銀行の事前審査に適用する「審査金利を3%」とすると月々の返済額が219,365円、返済比率に換算すると37.6%となります。しかも定年を65歳と想定した場合の残債額が3,200万円弱となりますから、この計画で住宅ローンを進めるには、難易度が高いことが想定されます。では、どのようにすれば進められると思いますか?それは単純に、①借入金額を下げる、②収入基準を上げる、の2点となります。
①の場合は、純粋に自己資金(贈与などを含めて)を充当することとなります。B様の場合は、引っ越しや仮住まいなどの費用として300万円以外にも自己資金がお有りでしたが、これ以上の資金を建築計画に投入することは考えておらず、また贈与などの資金も見込めないとのことでした。
②の場合は、本人の収入を上げることはできませんから、奥様がもし就業されていらっしゃれば、収入合算やペアローンといった選択肢があります。幸い、B様の奥様は、長年正社員として勤務され、年収も500万円とのことでした。奥様の収入を合算することができれば、返済比率が21.9%となりますから、こちらの問題は解決。奥様と2人で返済していくことになりますから、定年後の残債支払いについても銀行側の指摘は緩くなることが想定されます。
B様の場合、全国保証を利用することで住宅ローンを35年に変更することができ、奥様との収入合算という方法を利用して返済比率の問題も解決することができたことで、建替え計画を無事進めることができました。
いかがでしたでしょうか?既存の住宅ローンがある中での建替えができるのかわからない、どのように進めていけばよいのかわからないといった方も大勢いらっしゃいます。弊社では、家づくり無料相談会を随時実施しております。住宅ローンのご相談もお受けいたしますので、お気軽にご相談にいらしてください。
(つづく)
住宅ローン事例①「マンションからの住み替え」
2023年04月10日 17:05 Category : 住宅ローン,建築・住宅用語
久々の住宅ローンに関するブログです。今回から数回にわたり、実際に弊社に相談のあったかたの事例をご紹介していきます。まずは「マンションからの住み替え」事例です。
A様は、4年前にマンションを購入されましたが、今回奥様のご両親との二世帯住宅を建築(建替)することになりました。土地は義両親の名義、建物はA様の名義、建築資金は全額住宅ローンとする予定です。さて、このような場合、どのように話が進んでいくのでしょうか。
このとき、最初に注意しなければならない点は、A様が4年間にご購入されたマンションについて「住宅ローンが残っているかどうか」、義両親の土地と既存建物も同様に「住宅ローンが残っているかどうか」。この点が重要です。もし住宅ローンが完済していない場合、登記簿謄本に「抵当権」という権利が設定されているはずです。この権利は、以前のブログにも記載がありますが、銀行などの金融機関(保証会社を含む)が住宅ローンを貸し付ける際に設定する権利です。この権利を抹消するためには、住宅ローンを完済し、金融機関との間に債権債務がなくならないと手続きができません。稀に住宅ローンは完済しているのに、抵当権だけが残っているケースもありますので、この場合は早急に抹消の手続きをしましょう。
A様の状況を確認してみましょう。A様は、当時3,500万円で売りに出ていたマンションを2,500万円のローンと1,000万円の自己資金で購入され、現在の住宅ローン残高が2,250万円とのこと。また義両親は自己資金にて土地と建物を購入されており、抵当権は設定されていませんでした。この状況において、新しい住宅ローンをどのように組んでいくのでしょうか。A様の情報として「年齢35歳、勤続10年、年収650万」であり、借入希望額5,000万円とすると通常の住宅ローン審査としては、返済比率も問題なくクリアして、住宅ローンを組むことができます。では。マンションの住宅ローンは???
住宅ローンとは、あくまで「自らが居住するための建物の購入資金」であるため、マンションに住宅ローンが残ったままでは審査を進めることができません。つまり住宅ローンを完済する必要があります。
完済する具体的な方法は「①自己資金で完済」または「②第三者に売却してその資金で完済」の2つとなります。今回のケースは②となりました。これを進めるために、新築計画と同時並行で、今住んでいるマンションの売却を進める必要があります。多くの場合、新たな住宅ローンを組む際に「売却条件」というものが付帯されます。これは、新築住宅が完成するまでの間(場合によっては数カ月延長してくれるケースもあります)に、既存マンションの売却を完了して、既存住宅ローンを完済するというものです。
マンションの売却は、その立地条件や引渡時期、金額によって「すぐに」買い手がつく場合もありますし、新築住宅引渡ギリギリまで売却ができない場合もあります。欲を出してしまう(例えば、新築住宅完成と引っ越しの時期に合わせてマンションの引き渡しになるといいな、もう少し高値で売りたいな)と、うまい流れがつかめない場合もありますから、よほどのことがなければ、すぐに売却してしまうことをお勧めします。
A様の場合、建物工事中に3,300万円で売却することができ、一時的に仮住まいに転居されてから、新居へ再転居をされました。価格も近隣の平均売買価格に沿ったもので、既存の住宅ローンも滞りなく返済することができました。
実はここで1点注意しなければならないことがあります。それは譲渡所得というものです。不動産を売却した際に購入時の価格と比較して、もしプラスになっていた場合、それは譲渡益、つまり所得があると考えます。(当然、物価や地価その他の影響もありますから、単純な金額だけでみるものではありません)
所得である以上、税金がかかってくるわけですが、ここにもポイントがあります。購入してから売却するまでの期間が5年以下であれば「短期譲渡所得」、5年を超える場合は「長期譲渡所得」となり、それぞれ税率が変わってきます。この税率に対して、「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」という制度が利用でき、所有期間に関係なく最高で3,000万円の控除を受けることができるのですが、実はこの制度は、住宅ローン控除との併用ができない制度です。つまり、マンションを売却した際に「所得」が発生して、この制度を利用してしまうと、新しく組んだ住宅ローンの控除が受けられない、ということになります。
A様の場合、「購入額―売却額がマイナス」であったため、所得は発生せず、住宅ローン控除をそのまま利用することができましたが、ケースバイケースですので、よく調べてみる必要がありますね。
いかがでしたでしょうか?住み替えに抵抗があったり、どのように進めていけばよいのかわからないといった方も大勢いらっしゃいます。弊社では、家づくり無料相談会を随時実施しております。住宅ローンのご相談もお受けいたしますので、お気軽にご相談にいらしてください。
(つづく)
お待たせしました!住宅ローンシリーズ<住宅取得に必要な税金>
2022年11月01日 10:24 Category : 住宅ローン,建築・住宅用語
久々の住宅ローンに関するブログです。今回は、住宅を取得するうえで必要となる税金について学んでいきます。住宅を取得する際、「資金計画をしっかり作りましょう」という話は、どこの会社であっても営業マンから勧められることかと思いますが、この「税金」に関しては、全てが含まれていないことが多々あります。税金のことを念頭に置かず、カツカツの資金計画を組んでしまうと、いざ税金を支払う場面で、資金不足になってしまった、ということが無いようにしないといけません。では、どのような税金が発生するのでしょうか?
大きく分けると「住宅を取得する段階で必要な税金」と「後日支払いをする税金」とに分けられます。前者の「住宅を取得する段階で必要な税金」は、資金計画で記載がある会社が多いですが、後者は引き渡した後、数か月後に発生するものとなるため、資金計画に含まれていないのです。
1.「住宅を取得する段階で必要な税金」
①印紙税
印紙税は、契約書や領収書など経済的な取引によって作成された文書にかかる税金です。税務署に直接納めるのではなく、郵便局等で「収入印紙」を購入し、契約書に貼付、そこに消印(収入印紙とその下の文書にまたがって押す印のこと)することで、納税したことになります。課税金額は、それぞれの書面の内容(契約書なのか領収書なのか)や記載金額によって異なります。
②登録免許税
これは、土地・建物を問わず何らかの「登記」をする際に発生する税金です。「住宅ローンで土地を購入し、建物を建築する」場合に発生する登録免許税は、土地の所有権移転登記、土地の抵当権設定登記、建物の所有権保存登記、建物の抵当権追加設定登記の4つとなります。
一般的には、司法書士が登記手続きをする際に、登記費用の中に含めて請求されるもので、司法書士が皆様に代わって納税する形となります。(納税していないと登記ができません)
③不動産取得税
これも上記と同様に土地・建物を問わず発生する税金です。通常、上記の所有権移転・所有権保存の登記が完了し、登記簿謄本に所有権者として氏名が記載されたのち、3カ月から半年ぐらいを目安に市町村から通知書が郵送で届き、納税する仕組みです。
土地の場合は、固定資産税評価額(台帳価格)の50%が課税標準価額となり、その額の3%が税額となります。但し、一定の要件を満たした住宅用地であれば、税額の軽減措置があり、200㎡以下の面積の場合は、非課税となるケースが一般的です。
建物の場合は、固定資産税評価基準により課税標準額が決まります。なお、土地の場合と同様に、軽減措置が定められており、床面積が50㎡以上240㎡以下の建物の場合は、課税標準額から1,200万円(認定長期優良住宅の場合は1,300万円)を引いた金額となりますので、通常の広さの住宅であれば非課税となることが多いでしょう。ちなみに税率は、土地と同様に3%となります。
2.「後日支払いをする税金」
①固定資産税
固定資産税は、固定資産課税台帳に土地や建物の所有者として登録されている人が毎年納める税金です。毎年1月1日時点において所有者であれば年額を支払いことになります。(年の途中で売買する場合は、所有権移転日を起算日として買主が残日数分を売主に支払います)
税額は、土地・建物を問わず、課税標準額に対して1.4%が一般的ですが、財政上特別な必要性のある市町村においては、この税率より高くすることができるため、自治体によって税額が異なる場合があります。なお、建物の場合、床面積が50㎡以上280㎡以下の新築住宅の場合、2階建であれば3年間、3階建以上の耐火または準耐火建築物であれば5年間、120㎡までの床面積に対する固定資産税額が2分の1になる軽減措置があります。しかしながら、3年または5年経過後は軽減措置がなくなり、本来の税額に戻る、つまり税金が高くなるわけですから、早い時期から備えておくことが必要です。
②都市計画税
これは、都市計画法という法律で定められた市街化区域内にある土地や建物が課税対象となる税金です。税額は、課税標準額の0.3%までと定められています。一般的には、固定資産税と同時期に支払うものです。
固定資産税と都市計画税の説明において「課税標準額」という言葉がでてきました。この「課税標準額」とは、各市町村が3年に一度、土地と建物につけた固定資産税評価額をベースとして、この標準額が現状に則している価格かどうかを調査し決定するものです。直近の評価替えは2021年度でした。
土地の固定資産税評価額は、公示地価(毎年、国土交通省が調査委公表する基準地の価格のこと)の7割程度の水準を目安に設定されていますが、住宅用地の課税標準額には軽減措置が設けられています。この措置によって1戸あたり土地面積が200㎡までの部分は評価額の6分の1、200㎡を超える部分は3分の1が課税標準額となります。
固定資産税は、毎年4月から5月ぐらいを目安に納付書が送られてきて、その後4回に分割して納めることになります。市町村によって納税期日が異なりますので、注意が必要です。
いかがでしたでしょうか?固定資産税と都市計画税は、土地と建物を所有し続けている限り、必ず毎年支払わなければならないことがお分かりいただけましたでしょうか。住宅の場合、家計に対するランニングコストを算出するうえで、毎月の住宅ローンの返済額に、経年劣化に伴うメンテナンス(リフォームを含め)と併せて、この税金のことも念頭に考えることが大切です
弊社では、家づくり無料相談会を随時実施しております。住宅ローンのご相談もお受けいたしますので、お気軽にご相談にいらしてください。
(つづく)
お待たせしました!住宅ローンシリーズ<保証会社と保証料>
2022年05月16日 19:31 Category : 住宅ローン,建築・住宅用語,未分類
久々の住宅ローンに関するブログです。今回は、住宅ローンを組むうえで必要となる「保証会社」について学んでいきます。
ひと昔前まで、住宅ローンを組むには、本人が返済できなくなった場合に、その借入れを肩代わりすることを約束する連帯保証人が必要でした。しかし現在は、連帯保証人という「人的保証」ではなく、金融機関が指定する「保証会社」に保証料を支払うことで、保証を委託する形をとっています。この流れができあがった経緯を簡単に説明しましょう。
そもそも連帯保証とは、民法に定められている制度で、住宅ローンの場合は「債務者(住宅ローンの契約者)と同等の返済義務を負う」ことになります。つまり、金融機関としては、債務者と連帯保証人のどちらにでも貸し付けている金額の請求をすることになります。とはいえ、実際には、連帯保証人に返済の連絡がくることはなく、債務者の滞納や延滞が続き、返済不能と金融機関が捉えた段階で、はじめて請求されるのが一般的です。しかしながら、債務者に代わって弁済しなければならないほどの厳しい責任を負う連帯保証人になってくれる人は、ほとんどいないというのが実情です。ここで、「保証会社」が登場します。債務者が保証会社に対して、保証料の支払いをすることで連帯保証人の代わりの役目を担うことになります。
では、保証会社はどのような役割を果たしてくれるのでしょうか?一般的には、債務者が金融機関に対して、住宅ローンの返済を6カ月以上延滞するようなことがあると、金融機関は債務者に「住宅ローンの全額一括返済」を求める代わりに、保証会社へ請求をします。
この時点で、債務者の金融機関に対する返済義務はなくなりますが、住宅ローンが消えるわけではなく、むしろ状況は悪化したと言えます。なぜなら、今度は金融機関ではなく、住宅ローンを肩代わりした保証会社に対して返済しなければなりません。また、以前のブログに掲載した「個人信用情報」を管理している信用情報機関に「債権の異動」という、最も記載されてはいけない情報の一つとして登録されてしまいます。
この段階までくると、住宅を任意に売却したり、競売にかけられたりするケースがほとんどとなります。
返済が難しくなった、または難しくなりそうだ、という時点で、できるだけ早く金融機関に相談することが大切です。状況によっては、返済計画の見直しに応じてくれるケースもあります。昨今のコロナ禍による収入減少などもこれにあてはまるでしょう。
さて、実際に保証会社の利用にあたっては、「保証料」の支払いが必要となりますが、ここにもいくつかの方式があります。
①外枠方式
・借入年数と借入金額に基づいて算出された保証料を、保証委託契約締結時に全額支払う方式。
・銀行に支払う手数料は多額となるが、毎月の返済額は当初の金利通り。
②内枠方式
・保証料として支払う金額を、毎月の金利に上乗せ(考え方としては分割)して支払う方式。
・銀行に支払う手数料は少なくなるが、毎月の返済額が多くなる(一般的に+0.2%の上乗せ)
③融資手数料方式
・保証料を金融機関が肩代わりして支払ってくれる方式。但し、保証料の代わりに「事務手数料」という名目で保証料より若干高めの金額を支払う必要がある。
・上記の「外枠方式」に比べて、金利の設定が低くなっている金融機関が多いため、最近ではこの方式を選択して一番低い金利優遇を得ようと考えている方も多い(ネット銀行系は大体ほとんどがこの方式を採用しています)。
これら3つの方式は、それぞれメリット・デメリットがありますが、一番大切なことは、住宅ローンを組
まれる方のライフスタイルや今後の生活設計をどのように考えれているか、という部分です。住宅ローン減税の対象期間終了後、全額一括返済を考えているのであれば、②の内枠方式が絶対お得になりますし、毎月の金利優先であれば、③の融資手数料方式がお得になります。金融機関によって、それぞれ設定がありますので、住宅ローンを検討されている金融機関によくお話を聞かれることをお勧めします。
いかがでしたでしょうか?保証料の支払い方法だけでも、いくつかの方式にわかれているわけですから、住宅ローンを組むうえで知っておかなければいけない情報は本当にたくさんありますよね。
弊社では、家づくり無料相談会を随時実施しております。住宅ローンのご相談もお受けいたしますので、お気軽にご相談にいらしてください。
(つづく)
お待たせしました!住宅ローンシリーズの更新です。<団体信用生命保険とは?>
2022年02月02日 10:30 Category : 住宅ローン,建築・住宅用語
久々の住宅ローンに関するブログです。今回は、住宅ローンのなか出てくる用語「団信」について学んでいきます。
団信とは、正式には「団体信用生命保険」と言います。住宅ローンを利用する場合、原則としてこの保険に加入しなければなりません。この保険の意味合いとして、ローンの契約者(債務者)を被保険者として、万一「死亡」「高度障害」「余命6ヶ月の宣告」となった場合には、この保険金でローンが弁済され、残されたご家族はローンの負担から解放される、というものです。
長期間にわたる住宅ローンの返済中には、契約者本人の死亡や高度障害といった不測の事態が起きないとも限りません。そのため、金融機関による住宅ローンの場合、必ず団信に加入することが融資の必須条件となります。この保険料は、住宅ローンの金利に含まれておりますから、別途支払いが発生することはありません。しかしながら、健康状態などの理由から団信に加入できない場合、住宅ローンそのものの借入ができなくなります。この場合の対応策として、次の2つが考えられます。
①「ワイド団信」と呼ばれる引受緩和型の団信に加入する
審査条件が通常の団信より緩やかであるため、加入できる可能性が高くなりますが、絶対に加入できるとも限りませんし、金融機関によっては、この設定がない場合もあります。また、ワイド団信はオプション的な要素であるため、保険料として実際の金利に0.2~0.3%上乗せされます。
②「フラット35」を利用して、団信なしを選択する
「フラット35」を利用する場合、団信の加入は任意となっておりますので、ここで「加入しない」という選択を取ることも可能です。なお、団信に加入しない場合、固定金利の利率から0.2%マイナスとなります。
さて、この団信では先述の「死亡」「高度障害」「余命6ヶ月の宣告」以外の場合でも、保険料が支払わるものがあります。金融機関によって、それらの保険の設定は様々ですが、一般的に多いものとして「ガン団信」「3大疾病付き団信」「8大疾病付き団信」などが挙げられます。
これらの団信は、上記の「ワイド団信」と同様に、オプションとなりますので、保険料は実際の金利に上乗せして支払うことになります。
以下に簡単に示してみますが、金融機関による保険の設定によって内容は様々ですので、詳しくは住宅ローンを利用したい金融機関に聞いてみることが大切です。
①ガン団信
生まれて初めて「ガン」に罹患したと医師に「診断確定」された場合に、住宅ローンの残額が全額弁済となります。但し、「ガン」のなかでも、上皮内ガンと呼ばれる組織に浸潤していない超初期にあたるものや、皮膚ガンなどはこの対象となりません。また、住宅ローン借入の日から90日以内の場合は、免責となります。
②3大疾病付き団信
上記のガンに加え、「急性心筋梗塞」と「脳卒中」が加わります。この2つの病気の場合、多くは「診断確定」されただけでは保険金支払の対象とならず、所定の手術を受けた場合や初診日から数えて60日以上、労働の制限を必要とする状態が続いた場合、同じく60日以上にわたり言語障害や運動失調、麻痺等の後遺症が継続した場合など、支払いのための条件が付されています。
③8大疾病付き団信
上記の3つの病気に加えて、5つの重度慢性疾患(糖尿病、高血圧症、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎)が加わった団信となります。支払い条件については、上記②の「急性心筋梗塞」「脳卒中」のケースよりも厳しくなっていることが多いです。
最後に、この団信によってどれだけ支払いが増えるのかをシミュレートしてみましょう。「3,000万円を35年間、変動金利0.44%」で借りるとすると、
◎普通団信 ⇒ 77,083円
◎ガン団信 ⇒ 79,746円(ガン団信が0.2%金利上乗せの場合)
◎3大団信 ⇒ 80,421円(3大疾病付き団信が0.25%金利上乗せの場合)
つまり、2,663円のプラスでガン団信に、3,338円のプラスで3大疾病付き団信に加入することができることになります。
一般の生命保険においてガン保障をつけた場合、保険金額にもよりますが、この金額で加入することはまず無いと言えるでしょう。「ガンは遺伝する」とも言われていますから、もしお身内の方でガンに罹患されたことがある場合は、少なくとも「ガン団信」には加入しておくことをお勧めします。また、その他の団信にも興味がある場合は、住宅ローンの借入相談の際に、詳しく確認をしてみましょう。
弊社では、家づくり無料相談会を随時実施しております。住宅ローンのご相談もお受けいたしますので、お気軽にご相談にいらしてください。
(つづく)